コラム from Sweden
北欧の暮らし

ハウスメーカー【スウェーデンハウス】がお届けする、
時季折々の北欧のコラム。

第73回
スウェーデン人が愛する花「ゼラニウム」

スウェーデン人が愛する花「ゼラニウム」

春が近づき、花屋の店先にたくさんの苗や鉢が並ぶようになると、スウェーデンの人々はバルコニーや窓辺に飾る花をこぞって探し始めます。春らしい水仙やパンジーも素敵ですが、窓辺に飾る人気ナンバーワンの花は何といってもゼラニウムです。誰もが憧れるライフスタイルを描いたことで知られる国民的画家カール・ラーションの描く水彩画には、窓辺に飾られたゼラニウムが描かれており、この花はスウェーデン人にとって幸せの象徴でもあります。
ゼラニウムの葉と花の形は様々で、花にはたくさんの色調があります。スウェーデンの花をプロモーションしている協会Blomsterfrämjandetでは、毎年春にストックホルムで開催されるガーデニングフェアで「今年のゼラニウム」を発表しています。
「2020年のゼラニウム」に選ばれたのは「タンゴディープローズ・ウィズ・アイ」です。花の中心部が白とピンクの縞模様になっていて、花びらは赤く、明るいピンク色で縁取られています。タンゴという名前もこの花の華やかなイメージを引き立てています。ゼラニウムは窓辺に飾られることが多いですが、この品種は雨風に強いため屋外に飾ることを勧めています。確かに、玄関まわりやバルコニーといった屋外では色がさらに鮮やかに感じられ、とても美しく見えます。
ゼラニウムがスウェーデンに初めてやってきたのは19世紀のことですが、その時代に流行していた家具によく似合ったことから、インテリアとしても重宝されました。今では数千種のゼラニウムが市場に出回っており、毎年発表される「今年のゼラニウム」は、お気に入りの品種を見つけるヒントにもなっています。スウェーデンで誰かの家を訪ねるときの手土産に迷ったら、今年のゼラニウムを持っていけば喜ばれること間違いなし!です。

スウェーデンのフィーカタイム

スウェーデンのフィーカタイム

「Ska vi Fika?(スカ ヴィ フィーカ?)」は、スウェーデン語で「お茶をしませんか?」という意味の言葉です。毎日気軽に使うフィーカという言葉ですが、実際、スウェーデンの人たちはどのようにフィーカを楽しんでいるのでしょうか。
スウェーデンからアメリカに移住してからも、変わらずスウェーデン文化をこよなく愛しているソルヴェイ・マカレツ/Solvejg Makaretzさんは、フィーカの習慣を毎日のように取り入れています。
週末など時間のある時はお菓子を焼いてゆったりと楽しみ、平日の忙しい時は買ってきたクッキーなどで簡単に済ませます。「フィーカタイムは心地のいい場を作ることも大切で、ミューシグな感覚と似ています」とソルヴェイさん。家族や友人との楽しいひとときであるフィーカタイムは、心地よいミューシグなひとときでもあります。
ソルヴェイさんはお菓子を焼くのが得意で、参考にしているのは、スウェーデンに古くから伝わるお菓子のレシピ本「Sju sorters kakor(7種の焼き菓子)※」です。中でもこの本に掲載されている「エッぺルカーカ(アップルケーキ)」は、基本の材料にリンゴとシナモンを加えて焼くだけのシンプルでお気に入りのレシピです。
また、「リンツァートルテ」はナッツやクローブなどのスパイスとラズベリージャムを入れるのが一般的ですが、ソルヴェイさんはクローブを入れず、サクサク仕上がる粒子の細かいスウェーデンのパン粉の代わりにしっとり仕上がる小麦粉を使うという、おばあさまから伝わったオリジナルレシピで作っています。
ソルヴェイさんは時々故郷の南スウェーデンに帰りますが、その時は必ずベーカリーに行ってシナモンロールを注文するのだそう。やはりシナモンロールはスウェーデン人にとって特別な故郷の味のようです。
※「Sju sorters kakor(7種の焼き菓子)」:昔、スウェーデンには7種類のお菓子でもてなす習慣があったことから、このタイトルが名付けられたのだそうです。

Mysig/あなたのミューシグを教えて下さい

Mysig/あなたのミューシグを教えて下さい

ミューシグ/mysig」とは、居心地のよい空間で気持ちが落ち着き、心からリラックスできることを表わすスウェーデン語の形容詞です。今回「あなたのミューシグ」をお聞きしたのは、ストックホルムを拠点に活躍するスウェーデンのイラストレーター、アネリー・オルソン/Anneli Ohlssonさんです。
アネリーさんは、ストックホルム市内から船で30分ほどの距離にある小さな群島フェーデルホルマナ(Fjäderholmarna)に、夏の間だけオープンするサマーショップを運営しています。
水の都ストックホルムには船でいける群島がいくつかあり、夏になるとたくさんの人々で賑わいます。「群島にお店を持つことは最高の幸せで、ここで過ごす時間のひとつひとつがミューシグです」とアネリーさん。お客さまの喜ぶ顔を思い浮かべながら、お店をレトロな雰囲気にしたり、居心地のいい空間になるように工夫したり、お店まわりのデコレーションを考えます。
お店の外には大きなパラソルと椅子とテーブルが置かれ、ランチやフィーカを楽しみます。この場所はクリエイティブにもなれるので、イラストレーションなどの創作活動もここで行っているそうです。
アネリーさんがお店で売っているのは、オリジナルデザインのインテリア雑貨です。「Från A till Ö (AからÖまで)」という、70年代に放送されていた子ども向けTV番組のタイトルからイメージしたブランドで、自宅のキッチンや群島の景色など、暮らしの身近な風景や日々感じる思いからデザインを創り出しています。
ウェブサイト https://franatillo.com/
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by Sweden House
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山本由香
ライター:山本由香(デザインコンサルタント)
1998年からスウェーデンのストックホルムに暮らす。2005年に「北欧スウェーデンの幸せになるデザイン」の出版を機に、ストックホルムにてswedenstyle社を起業。執筆や日瑞企業のコーディネートをはじめ、スウェーデンデザイン、文化を日本にソーシャルメディア等を使い広く発信中。