コラム from Sweden
北欧の暮らし
ハウスメーカー【スウェーデンハウス】がお届けする、
時季折々の北欧のコラム。
インテリアフェア「Formex」では「Formidable」という北欧デザイン雑貨賞を発表しています。毎年1月と8月の年2回開催される「Formex」では、8月のフェアで12点の作品がノミネートされ、翌年の1月にその中から最優秀デザイン賞と一般投票によるトップデザイン賞が発表されます。「Formidable」にノミネートされる作品は、新作であること、新しいアイデアが潜んでいること、素材や工程も含めて全体的に興味の持てる作品であること、時代にマッチしていることなどが審査の対象となります。今回最優秀賞を受賞したのは、プリーツ加工されたリサイクルのスカーフ「プリーツショール」です。受賞者のスサンネ・ベスコヴさんは、van Deursというリサイクル事業のブランドを立ち上げて25年になります。近年スウェーデンではひとりあたり8キロの生地が廃棄され、新しい服10着のうち6着が1年以内に捨てられ、リサイクルされるのは1%以下だそうで、「リサイクル」は北欧デザイン界の最大のテーマになっています。捨てられる生地に加工を加え、人々を魅了する新しいコレクションを生み出す、そんなアイデアが最優秀賞に選ばれた要因でした。一般投票によるトップデザイン賞は、形と素材が特徴的な鉄製のスパイスグラインダーでした。
写真:Formex2019「Formidable」最優秀北欧デザイン雑貨賞を受賞したプリーツショール
インテリアフェア「Formex」が提案するトレンドカラーは、人々を元気付けることを目的としています。自然災害や紛争の絶えない世の中で、人々はどう生きていけばいいのか、そのヒントを与えてくれます。「Kindfulness/カインドフルネス」という言葉は北欧の新しいコンセプトです。資源が少なくなる地球上で、人々は自然を思いやり、他人を思いやり、正しい思考が何であるかを考え直すべきではないかと言っています。そんな思いを込めて提案されたトレンドカラーは、人々を元気づけ、安心させ、希望をもたせてくれるものでした。2019年に提案された3つのカラーテーマは「More is more/モア・イズ・モア」、「Kindful Soul/カインドフル・ソウル」、「New materialism/ニュー・マテリアリズム」でした。北欧デザインは「Less is more/少ないことは豊かだ」というミニマリズムを得意としますが、今回はあえて「More is more/多いことは豊かだ」として、派手な色合いで人々を元気付けました。アースカラーなど自然の色を提案する「Kindful Soul」では人々に安心感を与え、柄物やリサイクルによる新生を提案する「New materialism」では、人々に希望を与えています。スウェーデンの工業規格に採用されているカラーシステムNCSからそれぞれのテーマ毎にカラーパレットが提案されました。Formexはトレードフェアであり、来場者はバイヤー、デザイナー、スタイリスト、ジャーナリストなど、インテリア業界のプロです。カラーパレットの提案は、プロの仕事の参考になっています。北欧らしいインテリアのポイントは色の組み合わせです。お互いを引き立てる色の選択はとても重要で、Formexではいつも色の組み合わせが提案されています。
写真:More is moreのトレンド展示。カラーパレットは、カドミウムイエロー、ネオンピンク、ビブラントグリーン、ミッドナイトブルー、マーキュリーシルバー、クリスタルローズなど。
過去のFormexについてはこちらの記事をご覧ください。
https://mjuk.swedenhouse.co.jp/column/life_1801/
https://mjuk.swedenhouse.co.jp/column/life_1701/