日本では、ふきのとうや菜の花が咲きはじめると「春」の到来を感じますね。
スウェーデンでは、雪に埋もれた地面から雪割草やクロッカスの新芽が顔を出し、南の国から戻って来たカモメの鳴き声が、まさに「春の兆し」です。 首都ストックホルムを含め、日本と比べると自然が暮らしのすぐそばにあるスウェーデンでは、鳥たちはとても身近な存在です。
スウェーデンの一部の地方では、春になると早朝からみんなで森や公園に行き、コーヒーを飲みながらカッコウなどの春を告げる鳥の鳴き声を聴いて交流する「Gökotta/ヨークオッタ」という習慣があったそうです。 「Gök/ヨーク」とはスウェーデン語で「カッコウ」のこと、「otta /オッタ」は古い言葉で「早朝」を意味し、「彼/彼女はすごく早起きだ」というときには、「Han/Hon är uppe i gökottan (ハン/ホン エー イ ヨークオッタン)」と表現し、今も「ヨークオッタ」と銘打って早朝に森で礼拝を行う教会もあるようです。
春を迎える「Påsk/ポスク(復活祭)」では、ヨーロッパで一般的な「うさぎ」でなく、「卵」と「鳥」と「鳥の羽」をモチーフとして飾るスウェーデン。春の鳥は北国の人々の心に深く関わっているようですね。
写真:Gök(カッコウ)Wikiより
※「Julotta/ユールオッタ」は、クリスマスの早朝の礼拝のことを表します。
「Try Swedish!スウェーデンの食材」
2109年2月1日、EUと日本との間で「経済連携協定(EPA)」が発効され、双方からの輸入品に係る関税の廃止や引き下げが実施されるようになりました。これを機会にもっとスウェーデンの食に関心を持ってもらおう!ということで、スウェーデン本国からサスティナブルな食文化やライフスタイルを紹介するサイト「Try Swedish!(トライ・スウェディッシュ)」が開設されました。 2019年3月5日〜8日に開催されたアジア最大の食品展示会「FOODEX JAPAN」にはスウェーデンから6つの企業が参加し、「Try Swedish!」のブースを設けて、スウェーデンならではの食文化を紹介しました。 フランスやイタリア、ドイツなどからは多くの食品が輸入されているのに比べ、北欧の食品はまだまだ希少です。種類が少なくそのうえ高価なため、日本でスウェーデン料理を作る時は非常に苦労する事が多いのですが、これからはもっと手軽にスウェーデンの食材を手に入れることができそうです。 「12ヶ月のおいしい話」でご紹介しているスウェーデン料理のレシピでも、今までは入手できない材料を日本で販売されている物に置き換えるなど、いろいろと工夫をしてきました。スウェーデンと全く同じ材料を使って本場の味をみなさんに楽しんで頂ける日が待ち遠しいです! また同時に和食ブームが続いているスウェーデンにおいても、日本の味を知ってもらえる機会にもなり、「Sushi」「Ramen」「Wagyu」以外の和食の幅が広がるのではと、こちらも期待に胸を膨らませています。
写真:「トライ・スウェディッシュ」キャンペーン
【Try Swedish!のサイト】https://www.tryswedish.jp
春の恒例行事 Kosläpp (コースレップ)
人間と同じように、動物にとっても「春」は特別な季節。地面がすべて雪に覆われるスウェーデンでは、冬の間、動物は畜舎に閉じ込められてしまいます。雪が溶けて草が芽生える頃になると、ようやく畜舎から解放されて自然の中に放牧されます。 乳牛たちが牧場の草原に放たれることをスウェーデン語で「Kosläpp/コースレップ」または「Betesläpp/ベーテスレップ」といい、その様子はスウェーデン国内の厳選された牧場で一般公開されます。訪問者は年を重ねるごとに増し、今では15万人以上にものぼるそうです。 「Ko/コー」は「乳牛」、「släpp/スレップ」は「放つ」、「Bete/ベーテ」は「草を食べる」という意味になり、地域によって時期は異なりますが、4月から5月にかけて各地で行われます。 畜舎から放たれた途端、牧場に飛び出し、飛び跳ねたり駆け回る牛たちの姿は本当に嬉しそうで、思わず微笑んでしまいます。 春を待ちわびる気持ちは、牛も人間も同じなんだと実感しました。 私はまだ実際には見に行ったことがないのですが、ぜひ一度訪れてみたい春の行事の一つになっています。
写真:春を楽しむ牛
こちらから乳牛たちの嬉しそうな様子が伺えます!
https://youtu.be/bZ9wHXJbKyM