コラム from Sweden
北欧の暮らし

ハウスメーカー【スウェーデンハウス】がお届けする、
時季折々の北欧のコラム。

第81回
クリスマスのヘムスロイド


ヘムスロイドとは、スウェーデン語で「家庭の手工芸」を意味します。冬の長いスウェーデンでは家で過ごす時間が長く、昔ながらの手仕事であるヘムスロイドが受け継がれています。
クリスマスならではの伝統的なヘムスロイドは、ワラ細工のクリスマスリースやオーナメントです。山羊をかたどったワラ細工の「ユールボック」はクリスマスのシンボルとして有名で、北欧神話の神トールの車を引いた2頭のヤギにちなんでいると言われています。スウェーデンのイェブレ(Gävle)という地区では1966年から10メートルを超える巨大なユールボックが飾られ、クリスマスの風物詩となっています。
農業国であった昔の北欧ではワラにまつわる言い伝えがあり、大麦や小麦のワラで編んだ人形を飾って翌年の豊作を願ったり、その年の最後に収穫されるトウモロコシの束をお守りとしてクリスマスに供えていました。今でもクリスマスマーケットでは、ワラ細工のクリスマスリースやオーナメントがたくさん売られています。手の込んだ伝統工芸品としてのワラ細工は仕上がりも美しく、高価なものもあります。このようにしてクリスマスに飾られるワラ細工は、1月13日にクリスマスデコレーションを片付ける際に焚き上げられた風習がありました。日本のお正月飾りでも手作りの門松やしめ縄が飾られたのちに、小正月の「どんど焼き」の神事で飾りものを焚き上げるという風習にとてもよく似ています。日本とスウェーデンと場所は離れていても、農業国であったそれぞれの国において、幸せを願う伝統文化は似てくるのかもしれませんね。

Mysig/あなたのミューシグを教えて下さい


ミューシグ/mysigとは、居心地のよい空間で気持ちが落ち着き、心からリラックスできることを表わすスウェーデン語の形容詞です。今回「あなたのミューシグ」をお聞きしたのは、南スウェーデンの一軒家で家族と暮らしているグラフィックデザイナー、リンダ・スヴェンソン・エデヴィント(Linda Svensson Edevint)さんです。
リンダさんは日々の暮らしを心地よくするため、いろいろと工夫をしています。例えば、窓にはカーテンをかけず、その代わりに窓辺を飾る観葉植物を育てています。葉っぱがいい感じに長く伸びてきたので、窓のフレームのように飾ってみたら、とても素敵な窓辺になりました。リビングルームにあるソファにはたくさんのクッションを置いています。ソファで寛ぐ時、すわり心地のいいように置き換えられるので、クッションがたくさんあるととても居心地がよくリラックスできます。本を読みながらコーヒーをいただくと、ソファはミューシグな場所になります。子どもたちもソファが大好きで、大きなブランケットにふたりで包まって寛いでいる姿を見ると、私も幸せな気分になりました。家族の幸せそうな姿を見るひとときは何ごとにも変えられません。


冬のスウェーデンは暗い時間が長くなり、キャンドルが大活躍します。また、寒くなってくると暖炉に火を入れることも増えてきますが、キャンドルや暖炉の火は、部屋にミューシグな温かさを与えてくれます。暖炉の中で絶えず形を変える炎を見ながら、パチパチと薪が燃える音を聞いて過ごす時間もリラックスできるひとときです。また、冬といえども外に出かけて近くの森を散策し、針葉樹の葉の香りや冷たい空気を感じながら、瞑想をしつつゆっくりと歩く、そんな自然と触れあう森での時間も大好きなのだそうです。リンダさんにとってのミューシグは、家の中や森で過ごす心地のいいひとときや場面です。

クリスマスフィーカとデコレーション


スウェーデンでは11月最後の日曜日からクリスマスデコレーションが始まり、リンダさんのお宅でも、クリスマスの準備が整いました。ちょうど雪が少しだけ降り、家の庭をほんのりと雪が覆いました。庭の植物に照明を添えて、暗い季節を明るく彩ります。窓辺にはアドベントスターとキャンドル、アマリリスの球根を飾り、フレームのように窓枠を覆う観葉植物にも照明を添えて、クリスマスの雰囲気を盛り上げます。
この時期には、室内のあちこちにキャンドルを灯します。クリスマスツリーにはお母さま手作りのワラ細工と、クリスマスボールをシンプルに飾り、ツリーの下にプレゼントが置かれます。このプレゼントはクリスマス当日、サンタクロースになった家族がそれぞれに手渡しするのが恒例です。
クリスマスフィーカには、サフラン味のパン、ルッセカットを焼きます。イーストと小麦粉を混ぜ、サフランとミルクを温め、バターと砂糖を加えて作ったパン生地にレーズンを飾り付けて焼いたルッセカットは、12月13日のルシア祭や、クリスマスの時期にいただきます。ジンジャークッキーハウスは、子どもたちが毎年飾り付けるクリスマスの定番です。ジンジャークッキーを焼き、家の形に組み立て、カラフルなお菓子でデコレーションします。クリスマスが終わると、家族みんなで楽しくいただきます。リンダさんの家では、手作りがいっぱいの心温まるクリスマスを迎えています。

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by Sweden House
人と環境にやさしい住まい「スウェーデンハウス」。高い住宅性能を備えているからこそ叶えられる、快適で豊かな暮らしをご提供しています。

スウェーデンハウス公式サイト

山本由香
ライター:山本由香(デザインコンサルタント)
1998年からスウェーデンのストックホルムに暮らす。2005年に「北欧スウェーデンの幸せになるデザイン」の出版を機に、ストックホルムにてswedenstyle社を起業。執筆や日瑞企業のコーディネートをはじめ、スウェーデンデザイン、文化を日本にソーシャルメディア等を使い広く発信中。