コラム from Sweden
北欧の暮らし

コロナ禍の家ごもりを経験したことで本を読む習慣を持つ人が増え、現在も書籍の売り上げが順調なスウェーデン。売れ筋は健康志向の本で、その中でも注目を集めたのが、リンシェーピング大学病院の内分泌学の医師、フレドリック・ニーストレム教授が執筆した書籍「ラジカル・ラゴム」です。ニーストレム教授は肥満の問題を抱える患者の治療に30年以上の経験があり、何が彼らを悩ませているかを長い間観察してきました。そして、毎日のトレーニングの重要性や身体にいいものを食べる、バスに乗るより歩くといった、健康にこだわった暮らしを強制されていると感じることにこそ、大きな問題があると気づきました。
健康的な暮らしとは、過度なトレーニングや食事制限ではなく、心地の良い生活を送ることです。つまり、スウェーデン人が本来得意とするラゴムな暮らしなのです。ラゴムとは「自分にちょうどよい」具合を意味します。完璧ではなく、いい意味で肩の力が抜けた自分にちょうどよいこと、他人と比べるのではなく、自分にとって心地のよいラゴム。
健康となるとついエスカレートしてしまう多くのスウェーデン人への警告にもなるこの本は、スウェーデン人が本質的に持っている「自分にとってちょうどいい、ラゴム」という感覚を再認識させてくれる機会にもなりました。

ラゴムについては、以下のページでもご紹介しています。合わせてご覧ください。

第69回　スウェーデン式、ラゴムの考え方
https://mjuk.swedenhouse.co.jp/column/life_1912
ミュークの扉　ラゴム/Lagom
https://www.swedenhouse.co.jp/mjuk/door/03/