コラム from Sweden
北欧の暮らし

ハウスメーカー【スウェーデンハウス】がお届けする、
時季折々の北欧のコラム。

第92回
南スウェーデンのヘッセルホルム地区に家族と暮らすリンダ・スヴェンソン・エデヴィント/Linda Svensson Edevintさんのご自宅1

北欧の人々にご自宅を紹介していただくコラム、今回は南スウェーデンのスコーネ地方にある小さな街、ヘッセルホルムに家族と暮らしているグラフィックデザイナー、リンダ・スヴェンソン・エデヴィント(Linda Svensson Edevint)さんのご自宅です。
ヘッセルホルムは小さな街ですが、暮らしに必要なものはなんでも揃い、コペンハーゲンまで1時間くらいで行くことができます。近くには湖があり、家族みんなでよく釣りにも行くそうです。リンダさんは、夫のニクラスさんとティーンエイジャーの2人の子どもとの4人暮らしで、スペインから連れてきたチャレという名の愛犬がいます。実は、リンダさん一家は3年ほどスペインに暮らし、2年前にヘッセルホルムに戻った時にこの家を手に入れました。1950年代に建てられた3層構造(地下1階+地上2階)の家屋は、レンガ造りの壁に素焼き瓦の切妻屋根が特徴で、戦後の時代に数多く建てられた典型的な建物です。1階のリビングルームの奥はパティオにつながり、庭には小さなプールがあります。プールがある家というと豪勢に聞こえますが、このあたりのほとんどの一軒家には小さなプールがあるので、特別なことではないのだそう。

リンダさんたちが2年前に手に入れた当時、この家はかなりの修繕が必要な状態で、引越した初日からリノベーションに取りかかりました。古い家を時間をかけてリノベーションをするのはスウェーデンでは一般的で、リンダさんたちはこの夏までにパティオをリビングルームとつなげて、広いリビングルームに作り直すよう構想中だそうです。
リンダさんのウェブサイト https://www.lindasvensson.se/

 

南スウェーデンのヘッセルホルム地区に家族と暮らすリンダ・スヴェンソン・エデヴィント/Linda Svensson Edevintさんのご自宅2

リンダさんたちが手に入れた1950年代の家はかなりの修繕が必要な状態だったので、引越した当初からリノベーションに取りかかりました。特にこだわったのは、1950年代に建てられた当時のスタイルを大切にすることと、時代に左右されないタイムレスなインテリアにすることです。家が建てられたミッドセンチュリー時代の家具や小物をフリーマーケットやセカンドハンドショップで探したり、新しく買った家具を合わせてみたり。古いものと新しいものとをミックスさせるのは、なかなかエキサイティングなことなのだそうです。
フリーマーケットでは予期せぬものとの出会いがあり、それを飾る場所を考えるひとときもワクワクします。ソファセットはMIOというスウェーデンの家具ブランド、アームチェアはミッドセンチュリーのもの、棚や引き出しはIKEAの機能的なものを揃えています。

リンダさんはグラフィックデザイナーであり、イケアや北欧テキスタイルブランドのマイロ/Mairoやエーケルンド/Ekelundにデザインを提供していて、彼女がデザインしたクッションカバーが室内のあちこちに置かれています。シンプルな色合いの飽きのこないデザインはリンダさんの得意分野であり、タイムレスで明るい雰囲気のインテリア空間に一役買っています。
リンダさんのウェブサイト https://www.lindasvensson.se/

 

日本の古き良き慣習をテーマにした展覧会「BORO/ぼろ」が人気

日本人にとって貧しいイメージがある「ぼろ」という言葉ですが、近年、ルイ・ヴィトンやコム デ ギャルソンといった一流ブランドが「日本のぼろ」をテーマにしたコレクションを発表し、世界各地のクリエイターたちに影響を及ぼしています。そんな中、浅草のアミューズミュージアムで開催された「BORO/ぼろ展」が世界を巡回し、ストックホルムでも2021年3月から2022年1月まで展示されました。環境問題が課題となっている今の時代、ぼろぼろになった生地に刺し子の美しい刺繍を施し、古いものを捨てずに価値を高める「ぼろ」は今こそ注目されるアップサイクリングなコンセプトです。

「BORO/ぼろ展」のスウェーデンでのサブタイトルは「Nödens konst/必要性のアート」。展覧会では、『生活に必要なものごとがアートとして発展した』と表現されています。ストックホルムの東アジア博物館で「ぼろ」は実に魅力的に展示され、人々を大いに魅了しました。スウェーデンのデザインスクール、ベックマンの卒業生によるファッションブランド「Rave Review」は、「ぼろ」からインスピレーションを得て古着をパッチワークのように組み合わせ、新しい価値を生み出しました。

古いブランケットと古着を組み合わせたファッションは日本の地味な「ぼろ」とは異なり、カラフルで北欧らしく表現され、数々の賞を受賞するほど注目されているなど、スウェーデンでは「ぼろ」に貧しい印象はなく、アップサイクリングの代名詞となっています。最近は「金継ぎ」や「もったいない」という言葉も聞くようになり、日本の古き良き慣習が北欧でも話題になっています。

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by Sweden House
人と環境にやさしい住まい「スウェーデンハウス」。高い住宅性能を備えているからこそ叶えられる、快適で豊かな暮らしをご提供しています。

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山本由香
山本由香(デザインコンサルタント)
1998年からスウェーデンのストックホルムに暮らす。2005年に「北欧スウェーデンの幸せになるデザイン」の出版を機に、ストックホルムにてswedenstyle社を起業。執筆や日瑞企業のコーディネートをはじめ、スウェーデンデザイン、文化を日本にソーシャルメディア等を使い広く発信中。