コラム from Sweden
北欧の暮らし
ハウスメーカー【スウェーデンハウス】がお届けする、
時季折々の北欧のコラム。
スウェーデンの人たちは、常に快適なインテリアを自分の手で作り上げています。それは照明やテキスタイルやポスターなど、部分的な要素だけではなく、ドアや窓、床材にわたるまで全てにこだわります。
小さな子どものいる家では、壁にクロスを貼らず、あえて未完成の状態で残し、好きなだけ落書きができるスペースにしたり、家具やフロアなどにできた傷やシミも、家族が残した思い出や成長の証として、そのままにしておくことが多いようです。また、新品だけが揃ったインテリアは好まず、親や祖父母から譲りうけた家具や、セカンドハンドショップで手に入れた家具と取り合わせ、自分らしさを表現します。子どもたちは幼いころから個室を与えられ、成長にしたがってどのようなインテリアにするかを家族で話し合います。まずは、壁の色を好みの色に塗り替えたり、一部に壁紙を貼ったりします。その時に参考になるのがインテリア誌ですが、スウェーデンには日本とは比べ物にならないほどたくさんのインテリア誌があります。
おおよそのインテリアのイメージが決まったら、家族で大型ホームセンターに行きます。ここには壁紙や照明だけでなく、ペンキ、ドア、窓、床材、カーペットなど内装に必要な素材が全て揃っています。ドアや床の施工をプロに頼むと高いので、自分たちで施工をする人も多く、曲がったり多少失敗しながらも、家族で作業することをとことん楽しみます。定年後に自分でサマーハウスなどの家を建てはじめる人もいて、いつ完成するのかと少々心配になりますが、パーツを選んだり、どんなドアや窓にするかなどの家づくりの過程そのものを楽しんでいます。スウェーデンの人々にとっては、家が完成することは永遠になく、自分が年を重ねるのと同じように、家も年を重ねて成長していくのです。
北欧の人々にご自宅を紹介していただくコラム、今回はフィンランド西海岸のオストロボスニア地区に4人家族で暮らすヨハンナ・ヘグヴェグさんです。ヨハンナさんはイラストレーターとして活躍し、地元の小学校で使われている教科書のイラストを担当したり、地域のポスターを描いたり、商品のパッケージデザインなどを幅広く手がけています。ご主人のヨハンさんは音楽家で、ふたりの小学生のお子さんがいます。ヨハンナさん一家は、2017年に新築の一軒家を建てる際に、フィンランドの住宅メーカーKannustaloのLATOという、クリエイターに人気の高いデザインを選びました。LATOはフィンランドのインテリアデザイナーとフォトグラファーの夫婦が設計した住宅で、都会の喧騒から静かな田舎に移り住みたいという思いから生まれています。
田舎の古い納屋からインスピレーションを得て設計されたシンプルでモダンな木の家は、エレガントな外観を持ち機能的で柔軟な間取りです。ベースとなるプランに、ヨハンナさんたちの希望であるホームオフィスと音楽スタジオを加え、理想の家が完成しました。広い土地にはバーベキューができる庭があり、夏にはここで花や植物を育てています。洗練された外観の建物は、室内のインテリアとともに黒を基調にすっきりとまとまっています。
シンプルを好むヨハンナさんのお宅のインテリアは、黒が基調の洗練された印象です。全体的にブラック&ホワイトに統一していて、差し色は木や革などの自然素材のみ。リビングルームの壁には、家族や友人の思い出の写真やアートなどのポスターをバランスよく飾っています。壁にポスターを飾るのは、北欧インテリアの定番の手法で、並べ方や配色はとても参考になります。また、ポスターは取り替えやすいアイテムなので、季節や気分によって変えることも可能です。壁とカーテンとフロアを白に統一した明るいリビングルームには、ソフトグレイのソファと、白がメインのクッションを置いています。一方、リビングルームとつながったダイニングは、黒いテーブルと椅子、黒いカウンターのキッチンと、黒一色に統一されています。キッチンの収納スペースが広いので、外にはほとんど何も置かれていません。ところどころに飾られた観葉植物のグリーンが、黒い家具を背景に生き生きとして見えます。棚に飾られた小物も、インテリアに合わせたブラック&ホワイトのみです。家の中でヨハンナさんがもっとも気に入っているのは、リビングルームとキッチンやダイニングエリアがつながっているオープンスペース。家族が集まりやすく、たくさんの時間をみんなで一緒に過ごしています。