コラム from Sweden
北欧の暮らし
ハウスメーカー【スウェーデンハウス】がお届けする、
時季折々の北欧のコラム。
スウェーデンでは、キッチンは昔から家の中心的存在であり、料理をするだけの場所ではありません。キッチンにスペースがあると、そこには必ずといっていいほどテーブルと椅子が置かれていて、特に窓際はその定位置です。このテーブルは、慌ただしい平日の朝食や、簡単なフィーカタイムに使われます。ひとりで過ごすこともあれば、家族2、3人の簡単なフィーカの時間を過ごすことも。
写真1から3は、ミッドセンチュリー時代の典型的なキッチンで、狭い中にもちょっとしたスペースにテーブルが置かれています。写真4と5はテーブルを置くスペースのないキッチンですが、カウンターに椅子を置くことで、ひと休みできるスペースを作っています。写真6から9は少し広めのキッチンに、テーブルと椅子をゆったりと置いています。キッチンのテーブルはあくまでも朝食やフィーカなど軽食を取る場所で、夕食はダイニングテーブルでいただくのが一般的です。写真10はキッチンとは別の部屋にあるダイニングテーブルで、家族が集う夕食やお客さまをもてなす場所として使われます。
時代や家族のあり方に合わせて、少しづつキッチンは変わってきましたが、家族がコミュニケーションを取る場所としての大切な役割は変わっていません。
北欧の人々にご自宅を紹介していただくコラムをお届けしています。今回は、南スウェーデンの学生街ルンドのタウンハウスで、家族5人と愛犬と暮らすユリア・ブリストゥルフさんです。
ユリアさん一家は、バイキング時代に因んだ地名が付けられた歴史的遺産が残る、ルンド郊外にお住まいです。3人の子どもたちは全員元気いっぱいのティーンエイジャー。いちばん上の息子さんは18歳でこの6月に高校を卒業し、真ん中の娘さんは17歳、末の息子さんは13歳。ご主人のティムさんはニュージーランド出身です。
ユリアさんの家は1970年代に建てられた当時の典型的な建物で、チロルの山小屋のような外見と実用的な間取りが特徴です。ユリアさんたちがこの家に引っ越したのは、16年前に子どもたちが生まれたころで、家族が増えたために部屋数の多いこのタウンハウスに移り住みました。
テラスガーデンには屋根付きのアトリウム・ガーデンがあり、ぶどうやりんごの木、イチジクや桃、笹やレモン、ハーブやラベンダーなど、さまざまな植物が育っています。
春から夏にかけては、太陽の照る位置に合わせてガーデンのあちこちに椅子を移し、1日中日光浴を楽しむのが幸せなひとときです。薄暗くなる夕方にはガーデンにキャンドルを灯し、ミューシグな空間を演出します。
ユリアさんのウェブサイト
https://juliabristulf.com/en/
ユリアさんのご自宅にはテラスガーデンとつながったキッチンにはテーブルを置くスペースがあり、ここで家族との食事やフィーカタイムを過ごします。コロナ禍の折、家にいる時間が増えたことで、お料理をする機会も増えました。末息子のモーガンくんが庭に育つルバーブを採ってきて、ルバーブパイを作るお手伝いをしてくれます。ガーデンにあるハーブはいつも料理に大活躍です。
ユリアさんたちはアジアやスペインなどのエスニック料理が大好きで、たくさんお料理を作ったら、広いキッチンに集まり、家族全員で食事を楽しみます。ユリアさんの親戚もルンドに暮らしているので、コロナ前にはたくさんの人を呼んでパーティーをすることもありました。
ユリアさん一家は、南欧マヨルカに暮らす島民の家族と家を交換し、海辺の美しい家で2年間過ごした経験があります。そのことから、ユリアさんは北欧と南欧をミックスしたオリジナルデザインのインテリアブランドを設立しました。
南欧で育つ果物や植物をモチーフにした北欧らしいシンプルなデザインのクッションやキッチンタオルなどのインテリア雑貨が家のあちこちに見られます。壁のインテリアは家族の思い出を飾る場所で、祖父の描いた絵や、子どもたちの絵、家族写真などがバランスよく配置されています。北欧の家は家族の思い出に包まれていることが多く、家族それぞれの写真や子どものころに描いた作品などを額に入れて飾り、それがその家独特の魅力あるインテリアになっています。