コラム from Sweden
北欧の暮らし

ハウスメーカー【スウェーデンハウス】がお届けする、
時季折々の北欧のコラム。

第84回
Saltå kvarn(サルトオー・クゥオーン)
エコの街「Järna(ヤーナ)」のオーガニックの商品


スウェーデンの食品売り場には素敵なパッケージの商品が溢れていて、見ているだけで楽しくなります。
中でも、「Saltå kvarn(サルトオー・クゥオーン)」のパッケージには、目を惹きつけられます。

「サルトオー・クゥオーン」はバイオダイナミック農法で知られる土地「Järna(ヤーナ)」の、ある施設の地下室から始まります。
1930年代に障がい者施設の子どもたちや施設で働くスタッフに、オーガニックな穀物を使って焼いたパンを食べさせたあげたい、という思いから、地下室にパン工房が作られました。まもなく、施設に隣接していた古い粉挽き小屋を買い取り、1964年に正式な組織として「サルトオー・クゥオーン」が設立されました。1970年にはベーカリーが開設され、薪の石窯で焼かれたパンがヤーナ近辺で売られるようになり、その後ストックホルムにも配達されるようになりました。
パン作りに必要な小麦粉の販売からスタートし、現在では各種穀物類や、ナッツ類、フルーツジュースなども含め150種類にものぼる製品構成で、オーガニックの関心が高まっている現在、ますます人気は高まっています。

「サルトオー・クゥオーン」といえば、デザイン性に優れたパッケージでも有名。
2002年にKarin Huberによってデザインされたパッケージには、1964年当初の「kvarn(粉挽き小屋)」がモチーフとして描かれています。
ビビットな色使いの中に、どこかノスタルジックな雰囲気を感じるデザインは、メッセージ性も強く、幅広い層に支持されています。
サルトオー・クゥオーン ブティック&カフェのリンク
https://www.saltakvarn.se/butikochkafe/

今年のNo.1 Semla(セムラ) in Stockholm

復活祭前の断食に入る直前に食べるカロリーの高い菓子パン、「セムラ」 。2月26日はキリスト教の国々ではリオのカーニバルを始め、各国で謝肉祭が行われる日にあたり、スウェーデンでは古くは中世の時代からこの日にセムラを食べる習慣がありました。
今では、年が明けるとともにセムラが売り出され、各ベーカリーはその年のNo.1を競い合います。
審査は、雑誌や新聞、地方ごとに行われるので、多少の違いがありますが、上位に選ばれるベーカリーの顔ぶれはそれほど変わりません。
ある雑誌の審査では、今年(2021年)、セーデルマルムにあるベーカリー「セバスチャン・ポ・セーデル」のセムラがストックホルムの1位に選ばれ、連日行列ができているようです。
従来のスタンダードと少し異なる見た目で、実は昨年から気になっていたセムラです。
審査委員からは次のように評価されています。

*ホイップクリームは星形の口金で絞り出したものとは違い、最高級のカシミアの毛布をかぶせたように、ふんわりとセムラ全体にかぶさっていて、ひと口ほおばるとまるで天国の一部のように感じる。
*ローストされたアーモンドを使用したペーストは、キャラメルを思わせる香ばしさがあり、食べ終わったお皿を舐めたい衝動にかられるほど。

ちなみにホイップに使われている生クリームはスウェーデン産赤牛の牛乳を特別に加工したものだとか。
そのせいか、、、セムラ1個の価格は45クローナ前後が多い中、62クローナとお値段も格別です。(2021年3月現在 1クローナ=約13円)
ここ数年は変わり種のセムラが話題を呼んでいましたが、ここにきてクラシックなセムラを洗練させたものが登場したということでしょうか。
審査の様子が動画で見られます
https://youtu.be/Npb4xgI0n9g

イースターの可愛い魔女たち
Påskkäring(ポスクシャーリング)

スウェーデンでは、イースター前の木曜日に、可愛い魔女に変装した子どもたちをあちこちで見かけます。この日は「Skärtorsdagen(シェールトーシュダーゲン)」といい、古いスウェーデン語で「綺麗にする木曜日」という意味です。
キリストが十字架にかけられる前日、弟子たちとの最後の晩餐の時に、彼らの足を洗ったことからそう呼ばれています。
子どもたちが魔女に変装するのは、キリスト教の行事とは直接関係はないようですが、1800年の中頃にスウェーデン西部の地方から広まり、当初はイースターの前夜に若者や大人たちが変装していましたが、いつしか子どもたちの行事になりました。
ハロウィーンでもないのに、なぜ魔女なのか……というと、この日「Blåkulla(ブロークッラ)青い丘」と呼ばれる島で悪魔が開くパーティーに参加するため、魔女たちはその島に向かい箒に乗って飛んでいった、という古い言い伝えがあり、そこから魔女を装うようになりました。

子どもたちが変装する定番の魔女スタイルは、長いスカートにカーディガン、スカーフで頭を覆い隠し、ほっぺを真っ赤に塗った、怖い魔女とはかけ離れた可愛い姿。
この日は、箒とヤカンや籠を持った小さな魔女たちが近所にお菓子をもらいに行くのが習慣となっていて、保育園や小学校で扮装したイースターの魔女たちが家々をめぐる姿は、イースター前の微笑ましい光景となっています。

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by Sweden House
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見瀬理恵子(イラストレーター&フードアドバイサー)
見瀬理恵子(イラストレーター)
大阪総合デザイナー学院ファッションデザイン科卒。ペーター佐藤、安西水丸、原田治、新谷雅弘氏に師事。デザイン事務所勤務を経て、フリーランス・イラストレーターとして仕事を始める。1995年ー2000年と2006年から7年間スウェーデンに在住し、娘二人の成人を期に2013年9月に帰国。
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