コラム from Sweden
北欧の暮らし

ハウスメーカー【スウェーデンハウス】がお届けする、
時季折々の北欧のコラム。

第49回
aprilkämt:4月の冗談

子どもの頃、4月1日の「エイプリルフール」にはよく騙し合いをしたものですが、日本では大人の生活の中にそんなに浸透していませんね。アメリカやヨーロッパの国々では、大手メディアでも大掛かりな嘘を仕掛けることが珍しくありません。
エイプリルフールの起源であるフランスでは「4月の魚」といって、魚の形をしたお菓子やカードを送るそうです。
スウェーデンでは「aprilkämt(アプリールシェムト):4月の冗談」と呼ばれ、人を騙した後に「”April april din dumma sill, jag kan lura dig vart jag vill”(4月、4月、君は馬鹿なニシン。いつだって騙してやるよ) “April, april din dumma sill, jag kan lura vem jag vill” (4月、4月、君は馬鹿なニシン。誰だって騙してやるよ!)」と言います。

因みに2018年に見つけたスウェーデンの「4月の冗談(フェイクニュース)」は、ハンバーガーショップが4月1日に売り出した新商品、ベジタリアンハラペーニョバーガーとハラペーニョのシェイク。

そしてもうひとつは、ヨーグルトドリンクyoggiから発売される、キャビア味の新商品のニュースです。
https://www.facebook.com/yoggisverige/photos/a.855718381300031.1073741829.835546816650521/850543775150825/?type=3&theater

他にも「4月の冗談」は色々なところで出ていて、次の日に曝露され、それを言い当てたり確認するのが楽しみのひとつとなります。最近、日刊新聞や国営放送では差し障りのない食べ物関係の「4月の冗談」が多くなりましたが、日本とは随分文化の違いがありますね。
スウェーデンで過去に流された有名な「4月の冗談」をいくつかご紹介しましょう。

・1962年
カラーテレビが普及する以前のこと、国営放送が「今あるモノクロテレビにストッキングを被せると放送がカラーで見ることができる」とフェイクニュースを流した。

・1980年
実際には4月6日にサマータイムが初めて導入される予定だったが、4月1日の日刊紙で1日から導入されたとフェイクニュースを報道したため、国内の時計がバラバラの時間を表示し、大混乱になったとか。

写真:ハンバーガーショップMax のフェイクニュース ハラペーニョ入りの新商品

スウェーデンの中の日本文化

ストックホルムの中心にある「Kungsträdgården(王様の公園)」では、毎年4月に「桜祭り」が開催されます。会場にはお寿司や日本食を売る店があり、満開の桜の下でコスプレやカラオケ大会、和太鼓や着物のショウなど様々な日本文化を楽しむ人たちで賑わいます。
また、ストックホルムの「Östasiatiska museet(東アジア博物館)」では、定期的に生け花のレクチャーが行われていたり、「Etnografiska museet(国立民族博物館)」にある「瑞輝亭(ずいきてい)」という本格的な茶室では夏の間、茶道を体験することが出来ます。
スウェーデンでは空手や禅は、古くから一部の人に人気がありました。2000年前後には「セーラームーン」や「たまごっち」が子どもたちの間で話題になりました。そして2010年前後は漫画「One Piece」や「Naruto」、コスプレなどのサブカルチャーから日本ブームが巻き起こりました。同じ頃Sushiが大流行して、その後ラーメン、日本茶、和牛…など、日本への関心は日本食ブームへと変化しています。
今後日本がますます注目され、どのようなブームが起こるのか楽しみです。
瑞輝亭のリンク
http://www.varldskulturmuseerna.se/etnografiskamuseet/om-museet-2/tehuset-zui-ki-teis-vanner/

写真:Kungsträdgården(王様の公園)の桜

北欧の春

スウェーデンでは、やっとこの頃になって日照時間が日本と同じくらいになり、冬の暗さからは解放されました。それでもなかなか暖かくならないスウェーデンの春は、長年暮らしていてもいっこうに慣れず結構辛いものです。年によっては驚くほど暖かい4月もありますが、まだ雪が残っている年もあり、春の気候はとても不安定です。日本では春の彼岸を過ぎると暖かくなると言われますが、スウェーデンでは毎年4月30日に行われるお祭り「Valborgsmässoaffton(ヴァルボォリスメッソアフトン):ヴァルプルギスの夜」のかがり火を境に本格的な春が始まると言われます。
スウェーデンの春は肌寒いのが普通ですが、閉ざされた冬から心身共に解き放たれた人たちは、公園や広場へと繰り出します。街から少し離れたところにあるガーデンカフェでは、日焼けを嫌う日本人とは対照的に、週末になると肌を出し日光浴する人たちで溢れます。太陽は心まで暖かくするようで、冬の間厳しい顔つきだったスウェーデン人にも笑顔が戻ってくるように感じます。

写真:日光浴

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by Sweden House
人と環境にやさしい住まい「スウェーデンハウス」。高い住宅性能を備えているからこそ叶えられる、快適で豊かな暮らしをご提供しています。

スウェーデンハウス公式サイト

見瀬理恵子(イラストレーター&フードアドバイサー)
ライター:見瀬理恵子(イラストレーター)
大阪総合デザイナー学院ファッションデザイン科卒。ペーター佐藤、安西水丸、原田治、新谷雅弘氏に師事。デザイン事務所勤務を経て、フリーランス・イラストレーターとして仕事を始める。1995年ー2000年と2006年から7年間スウェーデンに在住し、娘二人の成人を期に2013年9月に帰国。