コラム from Sweden
北欧の暮らし
ハウスメーカー【スウェーデンハウス】がお届けする、
時季折々の北欧のコラム。
現在、スウェーデンでは肉料理を好む人が増えていますが、以前は今よりもずっと多く魚料理を食べていました。
中世のスウェーデンではニシンが貴重な食材の一つで、昔はバルト海沿岸の広い地域で獲れたものが、遠くはロンドンまで運ばれていたといわれています。
バルト海南部Kalmar (カルマル)より北で漁れるニシンをströmming(ストロミング)と呼び、カルマルより南のバルト海と西海岸の北海で漁れるニシンはsill(スィル)と呼ばれます。塩分が薄くなるバルト海に入るほど頭部が大きく、体の脂肪分が少なくなり、北の方で漁れるニシンほど体が小さいそうです。
冬は氷が張り、漁ができなくなるため、1年分のニシンを獲り、塩漬けや酢漬け、シュールストロミングに代表される発酵、燻製、乾燥など、先人達が知恵を絞って編み出した方法で保存していました。
ストックホルムでもその昔ガムラスタンの海岸沿いにフィッシュマーケットがあったそうですが、残念ながら現在はありません。代わりに、その名残のようなフードトラック「Nystekt strömming(ニィステークト・ストロミング)」がマーケットのあったスルッセンの広場付近にあり、焼きたてのニシンや焼いたニシンを挟んだバーガーは、ずっと昔からストックホルムっ子のお気に入りのファストフードとして愛されています。
このフードトラックは、数年前ガムラスタンの広場に移動しましたが、メニューも豊富でお値段もリーズナブルな「ニィステークト・ストロミング」は相変わらず人気が高く、観光スポットとしても賑わっています。
ストックホルムに旅行される際には是非味わってみてください!
代表的なスウェーデンの豆料理「Ärtsoppa(アートソッパ)」の歴史は遡ること1000年以上。ヴァイキング時代のスウェーデンでは、エンドウ豆と豚肉は「gudamat(神の食べ物)」といわれるほど贅沢な食べ物でした。
その後、中世にドイツから影響を受けて、黄色いエンドウ豆が人気を得ます。そして、アートソッパは18世紀の貴族や市民の間で評判の食べ物として広がっていきました。
19世紀後半に活躍した作家アウグスト・ストリンドベリーは、このスープを「神の食べ物」と称したほどの大好物だったという有名な逸話が残っています。
スウェーデンでアートソッパは木曜日の食べ物とされていますが、これはカトリック教会で断食の期間の水曜と金曜に肉食が禁止されていたため、木曜日の夕食に豚肉とärtsoppa(アートソッパ)を食べて栄養を補給したことに由来します。
豆類は栽培しやすいだけでなく、長期保存が可能で栄養があることから、船乗りや軍隊の食料としても重宝され、今も学校給食、病院などでは木曜日のメニューとしておなじみです。
また、アートソッパにはパンケーキのデザートが必ずつきますが、これはずいぶん後になってからの習慣で、スウェーデンの子どもたちは、木曜日になるとメインのスープより、むしろパンケーキのほうを楽しみにしているのだそうです。