コラム from Sweden
北欧の暮らし

ハウスメーカー【スウェーデンハウス】がお届けする、
時季折々の北欧のコラム。

第112回
ヨックモックのサーミ族ウィンターマーケット


スウェーデンの北部には、サーミ族と呼ばれる先住民の人々が暮らしています。私が人生で初めて出会ったサーミ族の方は、留学していた北部の都市キルナで学校の寮を管理してくれていた寮母さんでした。卒業式の日に色鮮やかなサーミ族の民族衣装「Kolt/コルト」を着て現れた彼女。その深く青い色をベースに赤や黄色のディテールの入ったカラフルな衣装の美しさは、今でも忘れられません。

そんなサーミ族の方々にとって、年に一度の大切なお祭りにあたるのが、同じく北部にあるヨックモックで2月に開かれるウィンターマーケット。2月の最初の木曜日から週末にかけて開催され、村の中心部の道路に屋台や出店が並び、トナカイ肉の煮込みなどサーミ族の食文化を楽しめるほか、ドゥオッジと呼ばれるサーミ族の手工芸品・北の地ならでは美味しいものや手仕事などを購入することが出来ます。いつもは静かな人口3000人の小さな村ですが、他のエリアのサーミの方々や世界中から観光客など数万人が押しかけ、大変な賑わい!
小さな村のホテルは、すぐに満室になってしまい、個人のお宅をAirbnb的にお借りしたり、村の学校に寝袋で宿泊出来たり、市内に宿を確保することすら至難の技。マーケットに訪れた際に、翌年の宿の予約を入れる方もいるという噂があるほどです。
マーケット期間に何度か開催される、地元の名士ご一族によるパレードも見どころの一つ。今まで触れたことのなかったサーミの文化。その素晴らしさに魅了され、今まで何度も訪れていますが、中でも最も寒かったのが2012年のマーケットで、一番寒い時でマイナス40度超え。30分以上続けて外に出ていられなかった強烈な寒さの中「肺が凍るから深呼吸しちゃだめ!」と出店者にアドバイスを受けながら、屋内に避難しつつ暖を取りながらの見学は良い思い出です。
もしこの時期にスウェーデンにいらっしゃるご予定のある方は、時間があればぜひヨックモックのウィンターマーケットを訪れてみてくださいね。きっと一生忘れられない貴重な経験になるはずです。


Video:Akechi Naoko
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by Sweden House
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明知直子
千葉大学教育学部卒業後、IDÈEにて家具販売とインテリアコーディネートに携わる。2007年にスウェーデン北極圏の街キルナへ留学。その後ストックホルムで写真を学び、現在はストックホルム郊外の群島アーキペラゴ在住。書籍や雑誌記事の執筆·撮影、日本とスウェーデンに関わるプロジェクトや企画のコーディネートを生業とする。