コラム from Sweden
北欧の暮らし
ハウスメーカー【スウェーデンハウス】がお届けする、
時季折々の北欧のコラム。
コロニーロットとは、レンタルガーデンのことで、都心の集合住宅に暮らす庭を持たない人々がプライベートガーデンを楽しむ場所です。
ストックホルムの西にあるロングホルメン島/Långholmenは都心にありながら自然の残る島として人気があり、1837年から続くコロニーロットがあります。この島には1700年代から1974年まで刑務所がありましたが、現在はリノベーションされ刑務所博物館を併設したホテルになっています。メーラレン湖に面したコロニーロットには「Stora Henriksvik(ストーラ・ヘンリックスヴィーク)」というカフェがあり、湖を望めるガーデンでフィーカや食事を楽しめます。焼き菓子やサンドイッチに使われている野菜やフルーツは、コロニーロットで収穫されたものです。
ここのコロニーロットは1700年代に家庭菜園として使われていて、その時代に栽培されていた植物が今でも育てられています。ベリー、ジャガイモ、アスパラガス、イチゴ、ルバーブ、豆類、根菜、レタス、キャベツ、ミントやタイムなどのハーブガーデンもあり、ベリーやルバーブはサフトと呼ばれる濃縮果汁やパイとしてカフェで提供されています。近くの湖では湖水浴もできて、天気のいい日はたくさんの人が訪れます。ひと泳ぎしたあとにコロニーロットカフェでランチやフィーカを楽しむのも、ストックホルムの人々にとっての憩いのひとときです。
ミューシグ/mysigとは、居心地のよい空間で気持ちが落ち着き、心からリラックスできることを表わすスウェーデン語の形容詞です。今回「あなたのミューシグ」をお聞きしたのは、ストックホルムを拠点に活躍するスウェーデン人デザイナー、ヨハンナ・エーン(Johanna Örn)さんです。
ヨハンナさんのミューシグは、ご自宅のガーデンでご家族と過ごすひとときです。スウェーデンの短い夏の間、ヨハンナさんはできるだけ多くの時間を外で過ごします。夏の夜は暗くならないので、遅くまで外にいることも多いそうです。ガーデンのベンチにすわって本を読んだりフィーカをしたり、そういったひとときの全てがミューシグです。夕方にはガーデンに咲く花に水をやり、少しずつ実ってきたベリーを摘みます。お隣の人が外に出ていると、ちょっとした会話を楽しみます。
ヨハンナさんのお嬢さんはヘルシーなスムージーが大好きで、ガーデンで育つイチゴやレッドカラント(赤スグリ)、ベリーを摘んで、スムージーを作ります。
また最近では、ヨハンナさんはコンブチャ(Kombucha)を作り始めました。コンブチャとは欧米で流行っている植物性の発酵ドリンクで、ダイエットやエイジングケア、新陳代謝などに効果が期待できるといいます。キットがあれば自宅でも作れるとあって、スウェーデンでも挑戦している人は多く、ヨハンナさんはガーデンで採れるルバーブとエルダーフラワーを使って夏味のコンブチャを作っています。
スウェーデンに住む人々にとって生活の一部であるフィーカ。長い夏休みの間、ヨハンナさんは家族や友人を訪ね、一緒にフィーカを楽しみます。
ヨハンナさんのご両親はスウェーデン西海岸にサマーハウスを持っていて、その近くの森には妹家族の小さなコテージがあり、夏には家族が集まります。いとこ同士の子どもたちは久しぶりの再会を喜び、森で遊んだり海で泳いだり、夏を思いっきり満喫します。子どもたちは近くの森でベリーやフルーツをたくさん採ってきて、一緒にケーキを作ります。
ヨハンナさんのお気に入りは、妹さんのレシピで作るキャロットケーキです。ケーキをクリームチーズで覆い、採れたてのブルーベリーをトッピングしたキャロットケーキはガーデンでいただくサマーフィーカにぴったりです。
フィーカに使うレモンイエローのカップ&ソーサーは、ミッドセンチュリー時代の「Rörstrand(ロールストランド)」のデザインです。ヨハンナさんの祖父母が1950年代に購入したもので、100歳になる祖母から受け継ぎました。家族で集うサマーフィーカに祖母が愛用したカップ&ソーサーを並べると、家族がひとつであることを感じます。サマーハウスの近くの草原に咲く草花を摘んでブーケにして飾れば、サマーフィーカのテーブルセッティングが完成します。