コラム from Sweden
北欧の暮らし
ハウスメーカー【スウェーデンハウス】がお届けする、
時季折々の北欧のコラム。
冬時間に変わったスウェーデンでは、11月に入ると16時前には日が暮れてしまいます。
11月末になると15時前に太陽が沈み、16時には真っ暗になってしまいます。
お店のディスプレイではそろそろクリスマスのデコレーションが始まりますが、自宅の飾り付けはもう少し先。特に行事のない11月は、日に日に外が暗くなるせいで、一年の中でも気分の滅入る人が一番多い月といわれています。ですから少しでも元気になるようにと、北欧のインテリアは明るい白系が好まれているようです。そして白に映えるビビットな色や模様の入ったカラフルなカーテンやクッション、カーペットなどを組み合わせてコーディネートを楽しみます。シンプルという点では日本と北欧のインテリアは似通っていますが、無難な色合いでまとめる日本に比べ、北欧の人たちはコントラストの強い色づかいやデザインが得意です。
写真:ストックホルムで開催されるデザイン展示FORMEXの展示より
北欧ではずっと昔から、暗く長い冬の間、家の中で過ごすことを強いられてきました。
そしてそのありあまった時間を手しごとに費やした事で、北欧の手工芸が発達したといわれています。今でも長い冬に編み物をして過ごす人は少なくありません。編み物は、若い世代にも人気があり、お茶を飲みながら教えたり教わったり、楽しくおしゃべりしながら編み物をする人たちが集まる「ニットカフェ」が色々な場所でおこなわれています。中でも北方民族博物館で催されるニットカフェは博物館という特別な環境で人気もあり、多くの人が集まります。
またアメリカで始まったStickgraffiti(スティックグラフィティ)という、公共の建物や彫刻、または自然の木などを編み物で被うパフォーマンスがスウェーデンでも流行していて、このパフォーマンスを行う編み物好きのグループがたくさんあります。編み物を手工芸に留めずに、アートにまで広げてしまう発想はすばらしいですね。
*Stickgraffiti(スティックグラフィティ)とは編み物の落書きという意味です。
写真:ダーラナ地方の街灯ポールを覆うスティックグラフィティ
暗い日々を過ごすうえで、なくてはならないのが照明器具。当然のことですが、スウェーデン人は照明の演出がとても上手です。
ほとんどの家庭で日常的にキャンドルを使い、お花は置かなくてもキャンドルのないテーブルセッティングは考えられないほどです。スウェーデンでは主に暖かい色の間接照明を使い、蛍光灯を灯す家庭はほとんどみられません。一部屋にある間接照明の数も多く、必要に応じて部屋の明るさを調整します。また複数の照明を組み合わせることによって、光に立体感が増し、素敵な雰囲気ができあがるのを楽しみます。スウェーデン人がよく使う「mysigt (ミューシグ)」という言葉は居心地のいい落ち着いた雰囲気を表しますが、光の演出はまさにぴったりな手法です。
このスウェーデン式照明器具の使い方は見習いたいもの。
私たちもキャンドルと間接照明を使って、自分らしい「ミューシグ」を楽しみたいですね。
写真:北欧の照明器具
11月29日(今日)はアドベント第1日目にあたる日です。
4本のキャンドルを立てて、クリスマスまでの4週間を楽しみに待ちます。毎週1本ずつ火を灯していき、4本目のキャンドルに火が灯ったら、さあいよいよクリスマスがやってきます!
一般的にはアドベントのキャンドルスタンドは苔とリンゴン(こけもも)の葉やミニチュアのキノコなどで飾られますが、豚の形をしたアドベントのキャンドルスタンドも素敵です。
アドベント第1日目には、窓にベツレヘムの星と言われる星形のランプも灯します。
カーテンやクッション、テーブルクロスなどはクリスマスカラーの赤を基調とした色に変えるので、家中に暖かい色が溢れ、ほっこりしたおだやかな気持に包まれます。
この日、クリスマスに欠かせない「ジンジャークッキー」や「ルッセカッテル(サフランの入った黄色いパン)」を焼いて、スパイスの効いたホットワイン「グロッグ」でおもてなしをするグロッグパーティーを開く人もいます。さあ、クリスマスを迎える準備のスタートです!
写真:スパイスの効いたホットワイン(グロッグ)でパーティ