コラム from Sweden
北欧の暮らし
ハウスメーカー【スウェーデンハウス】がお届けする、
時季折々の北欧のコラム。

北欧の人々にご自宅を紹介していただくこのコラム。今回は、ストックホルム郊外のハンデンに暮らすナンシー・ベッティルソンさんのお宅をご紹介します。
湖畔に建つ、大家族のためのスウェーデンハウス
ストックホルム市内から車でおよそ30分。豊かな自然に囲まれながらも、鉄道駅があり街へのアクセスも便利な郊外のハンデン。都市への開発が進むエリアですが、今もなお湖や森が暮らしを彩っています。

そんな地区に建つ一軒の家を訪ねました。私が参加しているバドミントンクラブで知り合ったナンシーさんご夫妻のご自宅です。50人が所属するクラブの集まりの際に、ご夫妻が広いご自宅を提供してくださったのが、この家を取材したいと思ったきっかけです。イエローの外壁に白い窓枠というスウェーデンらしい外観デザインの住まいは、玄関を入ると広いホールの奥にリビングルームが見え、右手には2階へと続く木製の螺旋階段がありました。その光景は、私が思い描く理想のスウェーデンの邸宅そのものでした。
1階にはリビングやダイニング、キッチンのほか、図書室やピアノルーム。2階にはファミリールームやベッドルーム、書斎、子ども部屋。そして地下には卓球やミニサッカーやバドミントンが楽しめるプレイルームまであります。ご主人のボークリステルさんはバドミントンのシニアヨーロッパ大会シングルスの優勝経験を持つ腕前で、家の中にもスポーツの楽しみがあふれています。

ナンシーさんは21歳、ボークリステルさんは25歳の時に結婚し、6人の子どもに恵まれました。1988年に湖に面した7000平米の土地を手に入れ、1994年に家づくりをスタート。翌年にマイホームが完成しました。家族の暮らしを支えるだけでなく、建物の中に5つの小さなアパートを取り入れ、家賃収入で建築費をまかなうという工夫も。湖畔に面した庭にはプライベートビーチがあり、広い敷地内にはテニスコートもあり、子育てにはこの上ない環境でした。
今では6人のお子さんも独立し、16人のお孫さんに囲まれるナンシーさんご夫妻。このうち4人のお子さんは近くに暮らし、1歳のお孫さんを連れて毎日のように訪れる娘さんもいます。家は世代を超えて家族が集う場所となり、にぎやかな声が絶えることはありません。

シンプルで心地よい、グスタビアンスタイルの家
私が思い描く理想のスウェーデン邸宅といえば、やはりグスタビアンスタイル。フランスのロココ調の華やかさに、北欧らしい素朴で洗練された「スウェーデン・グレイス」が融合したスタイルです。ナンシーさん宅は、そんな中でもシンプルで落ち着いたグスタビアンスタイルの印象を受けました。
家具やインテリアについて伺ってみると、意外にも選んでいるのはIKEAやMIOといった身近なインテリアショップ。さらにロッピス(蚤の市)やセカンドハンドショップで見つけた家具も多く、有名ブランドの家具をそろえることにはこだわっていません。リビングルームの中央に置かれた3つのソファのうちのひとつは義母から受け継いだアンティークソファで、似たものを2つ見つけ出し、組み合わせて置いています。
リビングルームのとなりには、お父様から贈られたというアンティークのグランドピアノが置かれた部屋があります。コーラスでピアノを担当しているナンシーさんにとって、大切なお気に入りのピアノ。取材の際にも、美しい音色を聞かせてくださいました。
家の特徴のひとつは、ほぼ各部屋に備えられた暖炉。見た目はアンティーク調ですが、実はすべてフィンランド製の新しいタイプなのだそうです。キッチンのストーブも年代物に見えますが、こちらもアンティーク調に仕立てられた比較的新しいもの。クラシカルな雰囲気と実用性をうまく両立させています。

そんな数ある部屋の中で、ナンシーさんに「いちばん好きな場所はどこですか?」と尋ねてみました。返ってきた答えは「キッチンね」。子どもの友だちが大勢集まるパーティでも、なぜか人が集まってしまうのはいつもキッチンなのだそうです。「やっぱりキッチンは居心地がいいのかしら」と笑うナンシーさん。大家族だからこそ、みんなが自然と集まり安心できる空間が、この家の中心になっているのです。