コラム from Sweden
北欧の暮らし

ハウスメーカー【スウェーデンハウス】がお届けする、
時季折々の北欧のコラム。

第145回
ストックホルム市内の文化遺産の家に暮らすカタリーナ・ペッテション (Catarina Pettersson) さんのご自宅1

北欧・スウェーデンの家 カタリーナ・ペッテションさんのご自宅

北欧の人々にご自宅を紹介していただくコラム、今回はストックホルム市内の文化遺産の家に暮らすカタリーナ・ペッテション (Catarina Pettersson) さんです。

ストックホルム南地区セーデルマルムには文化保護区があり、18世紀に建てられた歴史的に価値の高い家屋が残されています。古い家屋の維持はストックホルム市の公営住宅会社Stadsholmenが行いながら、今でも一般の人々が暮らしています。外観も内装も勝手に変えることはできず、住民は限られた規制の中で生活していますが、歴史的価値のある家に住みたい人は多く、住むチャンスを得るのはそう簡単ではありません。
そんな古い家屋での生活ぶりを紹介したく、今回取材をお願いしたのが2014年から文化遺産に暮らしているカタリーナさんです。カタリーナさんが暮らす建物は1730年代に繊維工場として建てられ、1775年に住宅として改装されました。おひとりさまで年金生活を始めたばかりというカタリーナさんは、生後3ヶ月のトイプードルと一緒に暮らしています。「冬は寒くて暖房費がかかるけど、春から秋にかけては過ごしやすい」とのこと。特に夏はまるでサマーハウスに暮らすかのように、庭で過ごす時間が多いそうです。都心の集合住宅では近所の人との交流が少ないですが、ここでは行き交う人々が声をかけてくれます。窓辺を彩る真っ赤なバラが美しく、庭の草花と古い家屋とのハーモニーが都心とは思えない美しい環境を作り出しています。

 

ストックホルム市内の文化遺産の家に暮らすカタリーナ・ペッテション (Catarina Pettersson) さんのご自宅2

北欧・スウェーデンのインテリア カタリーナ・ペッテションさんのご自宅

ストックホルム市の公営住宅会社Stadsholmenは、1936年から歴史的価値のある文化遺産などの古い家屋の維持管理をしています。18〜19世紀に建てられた一般の木造住宅や宮殿などを管理し、ストックホルムの歴史的遺産を守り続けています。
カタリーナさん宅の入り口には、次のような注意書きがあります。「あなたが住んでいる家は、ストックホルムの建築史において重要な役割を果たす技術や素材で作られています。文化遺産を守るためには、管理者と賃借人の双方が慎重に取り扱う必要があります。この建物は大変貴重であり、そこに住んでいるあなたやご近所の方々は、かけがえのない存在です。お金では測れない価値を一緒に守りましょう。」
文化遺産の家を維持するためには、住民の協力も必要になります。天井が低かったり、日当たりのよくない部屋があっても、不便さよりも文化遺産に暮らすことを誇りに思う人々が暮らしています。カタリーナさん宅は18世紀から20世紀初頭まで繊維の染色工場として使われていました。今でも2階部分は当時の乾燥室がそのまま残されており、実際に住めるのは1階部分だけです。裏庭には当時に使われていた倉庫があり、1年を通して温度が一定である食品貯蔵庫もあります。文化遺産の家に暮らすカタリーナさんは、自分が元気に暮らせる間は、この家に住み続けることを望んでいます。

 

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by Sweden House
人と環境にやさしい住まい「スウェーデンハウス」。高い住宅性能を備えているからこそ叶えられる、快適で豊かな暮らしをご提供しています。

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ブルセリド山本由香(デザインコンサルタント)
1998年からスウェーデンのストックホルムに暮らす。2002年に初の北欧デザイン情報サイト「スウェーデンスタイル・コム」を創設し、北欧デザインやライフスタイル情報を日本に紹介。現地デザイナーとのネットワークがあり、MUJIスウェーデンのプロジェクトに関わる等、日本と北欧の架け橋として活躍中。日本向けの北欧パターン事業Scandinavian Pattern Collectionの現地代理人を務める。