コラム from Sweden
北欧の暮らし

ハウスメーカー【スウェーデンハウス】がお届けする、
時季折々の北欧のコラム。

第98回
リダの森 - アウトドアの聖地へ

ストックホルム中心部から車で40分ほど南東にあるLida Friluftsgård/リダ・フリールフツゴード(通称リダ)は、森の中にあり季節に応じて自然と親しめる場所としてストックホルムっ子に愛されています。魚釣り・カヤック・水浴びが出来る湖があり、冬場はスキーやスケートも楽しめ、火をおこせる場所も充実していて、テントサイトやキッチンつきコテージ、アスレチックもあります。
リダ・フリールフツゴードは、国民の健康、人生の喜び、自然への敬意を払うことを目的に、さまざまな野外活動を推進している非営利団体であるフリールフツフレムヤンデ/野外生活推進協会が1930年代に始めた場所。子どもからお年寄りまで楽しめ、自然やアウトドアを愛する人にとっては聖地とされているのも納得の、素晴らしい場所です。

ここには自然保護区の森があり、マウンテンバイクで走れるトレイルや、トレッキングで有名なコースSörmlandsleden/ソルムランドレーデンも通っています。湖がもたらす湿り気のある空気のおかげで、森には珍しいキノコや苔が生えるのだそう。ほどよい登りの道や、古い松の木々の間の小道、岩山の上からの絶景などいろいろな見所があります。
自然保護区の森では、生きている木と枯れて朽ち果てた木が共生しています。枯れて倒れた木は森の栄養になると同時に、そこにいろいろな虫やキノコが好んで住み、またそれらが他の動物の食料になるなど、多様性がはぐくまれていくのだそう。
気持ちよい木漏れ日の中、自然の中に身を置き、森でのんびりお散歩を楽しんでいると、だんだんと自分のリズムが穏やかになり、体がほぐれていくのを感じます。
そんなリダの森の雰囲気を、動画でお届けします。


Video:Akechi Naoko

スウェーデン人と自然

スウェーデンは、国土の約70%が森に覆われ、その南北に細長い地形のため、多様な自然があることが魅力です。ノルウェーとの国境に沿うように山脈があり、北極圏に広がる雪山や果てしない大地、群島アーキペラゴなどの様々な地形や、針葉樹林や広葉樹の森、南部にかけては肥沃な農耕地帯が広がっています。国立公園は30ヶ所、自然保護区に指定された森は5000ヶ所以上あり、自然を愛するたくさんの人々が訪れます。

そんなスウェーデン人にインタビューを行い、自然との関わりについてまとめた書籍「Granskogsfolk/もみの木の森の人々-自然はどのようにスウェーデン人の宗教になったのか」の著者、デイヴィッド・トゥールフィエル氏も子どもの頃から自然に親しんだ一人。

電気も水もないサマーハウスでの夏の想い出や、ベリーやきのこ狩りを通して知る森の恩恵、凍った群島の海で楽しむアイススケートなど、小さい頃からの自然体験が、スウェーデン人の自然観を創りあげる一部を担っており、またそうした自然へのアプローチを可能にしてきたのが、「自然享受権」でもあります。

また、スウェーデンのがん患者に対する研究では、散歩をして風を感じ、鳥のさえずりを聞き、自然の中に身を置くことは、病気を受け止める過程の心の安定にとって重要なこと、だと多くの人が答えているそうです。がん宣告を受けた時、人は教会ではなく自然に向かう、というのは、スウェーデンの自然観が少し分かるようなエピソードですね。

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by Sweden House
人と環境にやさしい住まい「スウェーデンハウス」。高い住宅性能を備えているからこそ叶えられる、快適で豊かな暮らしをご提供しています。

スウェーデンハウス公式サイト

明知直子
千葉大学教育学部卒業後、IDÈEにて家具販売とインテリアコーディネートに携わる。2007年にスウェーデン北極圏の街キルナへ留学。その後ストックホルムで写真を学び、現在はストックホルム郊外の群島アーキペラゴ在住。書籍や雑誌記事の執筆·撮影、日本とスウェーデンに関わるプロジェクトや企画のコーディネートを生業とする。