コラム from Sweden
北欧の暮らし
ハウスメーカー【スウェーデンハウス】がお届けする、
時季折々の北欧のコラム。
スウェーデンには日本のようなペットショップはありません。
個人のブリーダーから譲ってもらうケースがほとんどで、実際に何度か会いに行って相性を確かめることも多いようです。家族全員が新しい家族を迎える気持ちでのぞみ、ブリーダーは、我が子を手放す気持ちで送り出します。
我が家に犬を迎えてしばらくしたある日、ブリーダーから嬉しいプレゼントが届きました。それは誕生の時からの画像をDVDにしたもので、その中にはパパとママの紹介から、産まれた時の様子や兄弟たちと遊んでいる様子、そして兄弟がどんな家族に引き取られていったのかまでが紹介されていました。
娘の学校で、担任の先生のペットの具合が悪くなり病院へ行くからと、懇談会を延期され驚いたことがありますが、命の大切さについて改めて考えさせられました。
こんな風に、動物であっても人と同じように育てていく気持ちがごく普通に育っている国って、素敵だと思います。
リタイアした人以外はほとんどの人が就業しているスウェーデンでは、長時間家をあける時にペット(特に犬)を預けることができる保育園のようなものがあります。
犬は集団で生活をする生き物なので、5時間以上ひとりで置いておく事は許されません。散歩も一日3回必要と言われていますので、フルタイムで働いている場合は到底無理な事になります。仕事場にペットを連れて行く人もいますが、普通は家族で割り当てて散歩の時間を決めたり、帰る時間を調整します。犬の保育園では飼い主が仕事を終えるまで、散歩に連れ出したりして面倒を見てくれます。その他にも、リタイアした人が、ペットと過ごす癒しの時間を持つために散歩を引き受けたり、学生等が昼間の散歩をするアルバイトもあり、ペットがひとりぼっちでストレスを抱え込まないよう、助け合って面倒を見るシステムが整っています。
犬やネコが産まれたときには、大抵の場合管理番号の入ったマイクロチップを首のあたりに埋め込まれます。
人間と同様に、スウェーデンでは身元がはっきりしていなければいけないようです。保険に入る時もこの番号が必要となり、保険に入っていないと獣医さんに診察を断られる場合も多いようです。
そういえばスウェーデンでは野生のウサギや鹿は見かけますが、野良猫や野良犬を見かけた事がありません。ペットを捨てる人がいないという事なのですね。なんだかすべて数字で管理されているのは複雑な気もしますが、迷子になった場合などにはとても便利なシステムです。考えてみれば、存在を大切にするという意味でもあり、捨てられるペットが多い日本でも是非取り入れて欲しいシステムですね。
日本の公共交通機関ではご高齢の方や妊婦さん、障害者の方用のシルバーシートを見かけますが、スウェーデンではペット用のマークのついたサインが必ずついています。
スウェーデンではほとんどの場合、子犬の時期にしつけ教室に通い、しっかりとしつけられるので、電車やバスではお行儀の良い大きな犬もよく見かけます。乗っている人たちも気軽に声をかけたり、とても和やかな雰囲気でほっとする場面がよくあります。ペットのアレルギーがある方のために、乗れる場所が定められていますが、ペットにも人間と同じように公共の乗り物に乗る権利が認められているという社会なのです。
ペットを飼うという事が、淋しさを満たすためや癒されるという一方的なことではなく、一緒に生活していくという姿勢はやはり素晴らしい事ですね。