コラム from Sweden
北欧の暮らし
ハウスメーカー【スウェーデンハウス】がお届けする、
時季折々の北欧のコラム。
スウェーデンでは8月下旬に新学期が始まり6月中頃には1学年が終わります。そして卒業式、終業式のあとは2ヶ月の長い夏休みが待っています。
高校の卒業式はスウェーデンでは成人になる18歳と重なり、日本の成人式と同じくらい大きなイベントとなります。卒業式は”utspring” ウートゥスプリング(外に走り出るという意味)と呼ばれ、その名のとおり学校から飛び出てきます。この日が大人の社会に飛び出す瞬間、人生への大きなスタート地点なのです。
卒業の証として授与される黒い縁付きの白い帽子には名前と学校名が刺繍され、女子はそれに合わせた白いドレスやスーツを着るのがおきまりのスタイルです。
卒業式当日はシャンパンとグラスを持って集まる「シャンパン朝食」というお祝いから始まります。行事のほとんどは生徒達の手でアレンジされます。なんといっても目玉イベントは、やはりトラックの荷台にのって、街中を凱旋することでしょう。クラス単位で大きなトラックを借り、垂れ幕を張り、白樺の枝や風船などの飾り付けをします。荷台に乗った生徒達はシャンパンやビールをかけあい(もちろん成人なので飲みながら)、ずぶぬれになって歌い踊りながらのどんちゃん騒ぎです。この時期の風物詩ともいえる卒業イベント。街の人たちも声援を送りお祝いしてくれる風景は日本の厳粛な卒業式とは想像もつかないほど、違ったものですね。
スウェーデンの教育の中で日本とちょっと違うなと思うのは「クリエイティブ」ということにかなり重点がおかれていること。手仕事をとおし創造する力、表現する力、思考する力を養います。もともとは日本と同じように、女子は家庭に入ってお裁縫が出来るように、男子は家具等が作れるようにと始まった教育だったのかもしれませんが、今ではクリエイティブな力をつける事が人間形成の基本となり、社会の発展にも繋がるという教育方針です。
低学年では男女共、コットンでフェルトを作ったり、木のバターナイフを作ったりする授業から始まり、中高学年は男女区別なく木工と手芸の授業のどちらをとってもいいようになっています。
日本では「食育」という言葉が話題になって久しいですが、スウェーデンの「食」に対する意識はまだまだ低いと思う事がしばしばあります。学校給食も聞けばびっくりするほど質素なもの。なんと食材の予算は9.8kr(約150円)クローナだそうです!ちなみに日本では平均250円くらいのようです。
しかし最近は「食」ブームの影響で、少々変化しているようです。数年前から少ない予算でも美味しいものをという動きがみえ、毎年有名シェフが審査員を努める学校給食コンテストまで行われるようになりました。
給食は食堂でのバイキング形式なので、教室から離れリフレッシュできるのがいいです。でも、嫌いなものは食べなくてもいいというのもちょっと考えものですね。