コラム from Sweden
北欧の暮らし
ハウスメーカー【スウェーデンハウス】がお届けする、
時季折々の北欧のコラム。
近所の保健センターは北欧デザインの待合室
今回は、スウェーデンの医療システムについてご紹介します。
スウェーデンの医療は、個人に割り当てられた「パーソナルナンバー(日本のマイナンバーのようなもの)」で管理されています。18歳以上になると、保健センター「Vårdcentralen」に登録し、必要に応じて予約を取り、診察を受けることができます。
スウェーデンでは「ホームドクター制」が採用されており、住民登録をすると、地域の保健センターの医師の中から担当医(ホームドクター)が決まります。保健センターは居住地域ごとに設置されていて、日常的な医療を幅広くカバーする地域の診療所の位置づけです。体調に不安を感じたときは、いきなり専門の病院に行くのではなく、まずは保健センターに連絡して診察の予約を取ります。診察後必要に応じて、そこから専門医への紹介を受け、次のステップへ進むという仕組みです。保健センターでは、医師のほか、看護師や理学療法士、心理士など、複数の専門スタッフがチームで対応してくれるのも大きな特徴です。
診察料は1回あたり一律275クローナ(日本円で約4,125円 ※2025年4月現在、1クローナ=約15円)で、MRI検査や理学療法士の指導、手術であってもすべて1回あたりの費用は同じです。また、12ヶ月以内に支払った合計が1,450クローナ(約21,750円)を超えると、それ以降の医療費は無料になるため、通院が多い人ほど経済的な負担が軽減されます。さらに「1177.se」というオンラインサービスでは、診療の予約や医療記録の閲覧、健康に関するアドバイスや病気の情報などを得ることができます。
ちなみに、保健センターや病院の待合室には、北欧デザインを取り入れた心地よい空間が広がっており、訪れる人の心を和ませてくれます。
壁紙が目を惹く病院の待合室
「アクアデンタル」は最近増えている歯科医療チェーンのひとつ
続いては、スウェーデンの歯科医療についてご紹介します。
予防歯科の先進国であるスウェーデンでは、歯科医は虫歯になってから行くというより、予防のために定期的に通院します。スウェーデン社会庁「Socialstyrelsen」の報告では、この10年間で80歳での平均残存歯数が22本から24本に増加しており、これも予防歯科のおかげと言えるでしょう。また、19歳までは、矯正を含むすべての歯科治療費が無料のため、多くのスウェーデン人が子どものうちに矯正を受けており、歯並びのきれいな人がとても多いです。
歯科は前回ご紹介した一般の医療システムとは異なり、12ヶ月間の支払い上限額が設けられていません。そのため、治療内容によっては高額な費用がかかることもあります。
歯科医院には、公立の歯科診療所「Folktandvården」と、個人運営の診療所の2種類があります。公立の歯科診療所では、主に虫歯治療などの基本的な処置が中心で、審美歯科など見た目の美しさを重視した治療を希望する場合は、個人運営の方が対応してもらいやすいです。私自身も、日本で治療した銀の詰め物が気になっていたり、歯並びに悩みがありましたが、個人運営の歯科医で見た目もきれいに整えてもらいました。
治療については、虫歯1本ならたいてい1回の通院で済みますが、費用は公立も個人運営の診療所もほぼ同じく1万円以上かかります。歯石取りも1万円ほどの費用がかかります。そんな事情から、歯科医院では虫歯などの治療を行う「歯科医の治療室」と、歯石除去などを担当する「歯科衛生士の処置室」に分かれているのが日本とは異なる点でしょうか。歯科衛生士は治療は行いませんが、患者と直接やり取りをして、定期的に歯石除去の予約を取り、歯石除去をしてくれます。また、歯科医も定期的に虫歯のチェックを行い、歯科医と歯科衛生士が連携して、人々の歯の健康をしっかりとサポートしています。