コラム from Sweden
北欧の暮らし
ハウスメーカー【スウェーデンハウス】がお届けする、
時季折々の北欧のコラム。
スウェーデン暮らしの我が家には小学生と保育園児の2人の子どもがいますが、お友達の間で、あまり虫歯があるという子の話を聞きません。上の子の周りの友達には、虫歯になってしまい、甘いものを控えている子は1人だけいましたが、周囲を見回しても大人も子どももあまり虫歯で苦しんでいる人を見かけないのが現実です。
でも昔はスウェーデンも虫歯を持っている人も多く、1940-50年代には、虫歯の無い人を見つけるのは難しいくらいだったのだそう。虫歯予防のための歯磨きキャンペーンや学校の売店でのお菓子の販売禁止、また甘いものに特別税をかける提案が出されるほど、虫歯の問題が深刻だったようです。
スウェーデン人が大好きなチョコレートやグミなどのお菓子「Godis(ゴッディス)」。国内ほぼ全てのスーパーにあるのではないかと思われるほど市民権を得ていて、老若男女に人気です。このお菓子は別名「Lördagsgodis(土曜日のgodis)」とも呼ばれ、土曜日に食べるのが一般的です。これも当時の虫歯問題を抱えていたスウェーデンで、「特定の曜日に集中してお菓子を食べれば、子どもたちは虫歯になりにくい」と考えられ、60年代にこの考え方が広まり、この習慣が定着したのだそうです。
60年代には、フッ素で口をすすぐ習慣が学校でも推進され、70年代には歯科治療のための保険制度を導入。今では子どもや若者は、19歳まで無料で歯科治療を受ける権利があります。また、咬み合わせが悪い場合、歯科矯正も無料で受けることができます。(大人になってからの歯の治療はとても高く、虫歯を一本治すだけで、数万円かかります)
フィーカの国で知られるスウェーデン。お菓子の消費量が一人当たり年間17-18kgとEUの国々の中でも群を抜いている甘いものが大好きな人々ですが、世界でも高いレベルのデンタルヘルスを保っており、予防歯科の先進国として知られているのです。
次回のコラムでは、実際の子どものデンタルヘルスをご紹介します。
0-2歳児、2-6歳児、6歳児〜ジュニア用の歯磨き粉。年齢に合わせたフッ素入りの歯磨き粉の使用が推奨されています。
前回のコラムで、スウェーデンでは虫歯のある子どもが少ない印象があるとお話ししましたが、子どもの歯の健康を取り巻く環境にも、日本と異なる点があるのを感じます。
特に違いを感じる点は、お菓子やジュースを食べる習慣があまりないということと、フッ素の入っている歯磨き粉を使って磨いた後、口をすすがないという二点です。
○特別な機会を除いて、習慣的にお菓子やジュースを食べる文化があまりない
Fredagsmys(金曜日夜の家族の時間)やフィーカなど以外で、間食を頻繁にとることが少ないように思います。保育園や小学校低学年ではmellis(中間の食事を表すmellanmålの省略形)と呼ばれるおやつの時間がありますが、これは活動に必要なエネルギーを補う・休息の意味合いが強く、食べるものは生のリンゴやスムージー、サンドイッチ、砂糖を避けたヘルシーなお菓子などが中心です。また、食事の時に推奨されている飲み物は水か牛乳です。
保育園のおやつ「ココナッツとジンジャーとカルダモンが効いたバナナケーキ」と「野菜のビーツのケーキ」。ビーツのケーキは、バナナと干したアプリコットで甘みをつけているのだそう。バニラパウダーで香り付けしたギリシャヨーグルトが添えられ、自然の甘味を使った優しい味。
オーガニック食材ブランドSaltå Kvarnの無添加の果物のおやつ。リンゴジュースで甘味をプラスし、オーブンで低温乾燥して絶妙な硬さに仕上げるのだそう。無添加のおやつとしてありがたい。
○歯を磨いた後に口をすすがない
歯を磨く際には、フッ素が入った歯磨き粉の使用が推奨されています。そして、洗い流してしまわないよう、口をすすがない方が良いと指導されます。月齢が低い赤ちゃんの時の検診で「歯が生え始めてきたら歯磨きをはじめる」と指導を受け、実際の歯医者さんで初めて歯科検診を受けるのは満3歳。この時は虫歯があるかどうかチェックをしてくれる他、甘いものをどの頻度で摂っているか、朝と夜の2回きちんと歯を磨いているかなどの質問があります。
お口の中をチェックしてもらい、終わったら旗のお土産と小さなプレゼントをもらいます。「歯医者さんに行ってきたのね!」と声をかけられて、満足そうな娘。スウェーデンでは3歳児の96%に虫歯がありません。
スウェーデンに住んでいて感じるのは「良い習慣が歯の健康を保つ」ということです。健康な歯は子どもの発育と健康に大切で、将来健康な歯で過ごせる可能性も高くなります。スウェーデンの取り組みから学べることを参考にしつつ、暮らしに合った工夫を取り入れていきたいですね。